アニメやゲームの主人公には、声で決まる説得力があります。
どんなに作画が良くても、主人公の「諦めない」「立ち上がる」という感情が声に乗らなければ、物語は熱を持ちません。その難しい役割を、20年以上にわたって担い続けてきた声優が森田成一(もりた まさかず)さんです。
『BLEACH』の黒崎一護、と言えばピンとくる方も多いはずです。けれど彼のキャリアの出発点は、実はアニメではなくゲームでした。
始まりは『ファイナルファンタジーX』のティーダ
森田成一さんが広く知られるきっかけになったのは、2001年に発売されたPS2用ゲーム『ファイナルファンタジーX』です。
彼はこの作品で、主人公ティーダのモーションアクター(動きの演技)と声を同時に担当しました。つまり、体の動きと声の両方でティーダという少年を作り上げたわけです。この経験以降、彼は声優としての活動を本格化させていきます。続編『ファイナルファンタジーX-2』でもティーダ、そしてシューインを演じました。
ゲームの主人公からキャリアを始めたという経歴は、彼の「主人公の声」としての資質を考えるうえで興味深いポイントです。
まっすぐな声という、得がたい武器
声優の世界では、技術以前にその人の声質そのものが武器になることがあります。森田成一さんの場合、それは力強くまっすぐな声です。
迷いを振り切って前に進む少年。仲間のために自分を犠牲にする若者。そうしたキャラクターのセリフを森田さんが発すると、不思議なほど嘘がありません。演技で「強さ」を作っているというより、声の芯にもともと強さが宿っているような印象を受けます。
この声質があるからこそ、彼は数多くの作品で主人公を任されてきました。声を聞いただけで「ああ、この子は最後まで戦い抜くんだろうな」と視聴者に予感させる――それは誰にでもできることではありません。
黒崎一護という、キャリアの代名詞
森田成一さんを語るうえで外せないのが、2004年放送開始の『BLEACH』です。
主人公・黒崎一護は、死神と人間のハーフという複雑な出自を持つキャラクター。怒り、葛藤、覚悟といった激しい感情が次々と押し寄せる役どころですが、森田さんはその振れ幅を見事に声で表現しました。
『BLEACH』は国内にとどまらず海外でも絶大な人気を誇り、近年も『BLEACH 千年血戦篇』として新たなアニメシリーズが展開されています。森田さんも引き続き一護を演じており、世界中のアニメファンの記憶に彼の声が刻まれ続けています。
車田正美作品の主人公を、二度も
森田成一さんは、『聖闘士星矢』『リングにかけろ』で知られる漫画家・車田正美さんの作品で、主人公を二度任されています。
2005年の『聖闘士星矢 冥王ハーデス冥界編』ではペガサス星矢を、『リングにかけろ1』では高嶺竜児を担当しました。熱血漫画の象徴とも言える車田作品の主人公に二度抜擢されたことは、彼の「主人公の声」としての評価の高さを物語っています。
一護だけじゃない、幅広い主役級キャラ
森田成一さんの代表作は、ほかにも数多くあります。
- 『TIGER & BUNNY』バーナビー・ブルックスJr.……クールな二枚目ヒーロー
- 『キングダム 第6シリーズ』信……天下の大将軍を目指す主人公
- 『ONE PIECE』コビー……臆病な少年から逞しい海兵へ成長
- 『ドラゴンボールヒーローズ』ウイス、ターブル
熱血少年だけでなく、クールな二枚目(バーナビー)や、成長していく脇役(コビー)まで。役柄の幅広さも、彼が長く起用される理由です。こうした実績が評価され、2007年には第1回声優アワードで新人賞(男優部門)を受賞しています。
筆者が感じる、森田成一の「信頼感」
個人的に森田成一さんの魅力を一つ挙げるなら、それは「この人が主人公なら安心して観られる」という信頼感です。
新作アニメのキャスト発表で森田さんの名前を見ると、視聴者は無意識に「ちゃんとした主人公ものだろう」と期待します。これは長年、数々の主人公を誠実に演じ続けてきた実績があってこそ生まれる感覚です。
加えて彼は、声優活動と並行して舞台にも立ち続けています。声だけで完結する仕事と、身体全体を使う仕事。その両方を続けることで表現の引き出しが広がり、アニメ収録でのキャラクターへの没入を支えているのだと思います。
森田成一についてよくある疑問
まず押さえるべき作品は?
ゲームなら『ファイナルファンタジーX』のティーダ、アニメなら『BLEACH』の黒崎一護が二大代表作です。『TIGER & BUNNY』のバーナビー、『キングダム』の信を加えて聴き比べると、役柄の振り幅がよく分かります。
最新の出演作を知るには?
所属事務所「青二プロダクション」の公式サイトや、アニメイトタイムズ・アニメハックなどのアニメ情報サイトで確認できます。
おわりに
ゲームの主人公から始まり、数々のアニメの主役を演じ続けてきた森田成一さん。その声は、これからも新しい主人公たちに命を吹き込んでいくはずです。
もし彼の演技を体感したいなら、まずは『BLEACH』の黒崎一護から。力強くまっすぐなあの声が、なぜ「主人公の代名詞」と呼ばれるのか、最初の数話で実感できるはずです。


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